さて,ヒトの骨格は左右対称にできています。どうしてだろう? その理由を述べてみましょう。広い公園でまっすぐに歩いてみます。 ところが,不思議なことに目を閉じて歩くと歩けなません。少し歩くと,いつの間にか左右に大きくずれています。目で目標物を捕らえているから,まっすぐに歩けることがわかります。 それでは,目を閉じるとどうして歩けないのか?これは歯の噛み合わせが関係しています。 例えば,目を閉じて顎を右側に寄せて歩きます。そうするといつのまにか,右に大きく傾いている。反対の場合でも同様です。だから歯や骨格は左右対称なのです。 そう言えば,水泳でも背泳の選手は天井のどこかを基準にして泳ぎます。そうしないと,まっすぐ泳げないで曲がってしまうのです。 話は戻って,ここで大胆な仮説をたててみました。さて100m走で,第1歩が5度ずれてダッシュすると仮定します。そうすると計算上では,100m40cm。つまりその選手は,40cm余分に走らなければなりません。この調子で10度ずれると1.6m,30度では15.5mとなります。 計算は,三角関数のコサインの逆数を求めればよいのです。 さらに100mを10秒で走る選手であれば,5度ずれれば10秒04。10度では10秒16,30度では11秒55もかかってしまう計算になります。これでは試合に勝てません。 身体のバランスの悪さが,記録に影響することがわかります。そこで噛みあわせを調整する必要があります。 これは試験勉強を考えればわかりやすいです。例えば平均60点を目指せば,一夜漬けでも取れるでしょう。しかし平均70点を取ろうと思うと,日頃からよく勉強する必要があります。 それでは常に80点をキープするにはどうすれば良いでしょうか? 70点の数倍の勉強量が必要です。さらに90点以上では,どうでしょう? 1点アップするための努力は,生半可なものではありません。 オリンピック競技では,常に人間の可能性の限界に挑戦します。記録をアップさせるすべての要因を考え試合に臨むのです。 アメリカでは30年以上前から,試合の前には歯の噛みあわせを調整していたと言います。 ジャマイカのブレーザ選手にとっても,一つの可能性が歯の矯正だったに違いないと思っています。 | | | |